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クローズアップ 日本海洋散骨協会 「海洋葬サミット」レポート

寒い冬の時期は散骨・海洋葬の需要は比較的少ないといわれています。散骨・海洋葬をご検討の方は「もう少し暖かくなってから」と思っている方も多いと思います。そんな2月初旬に日本海洋散骨協会(会長:村田ますみ さん)主催の「第2回海洋葬サミット」が開催され、全国から散骨施行会社が集まりました。散骨・海洋葬ネットも皆様に散骨・海洋葬の現状をお伝えすべく、参加させていただきました。

日本海洋散骨協会の目的(安全確保と周辺への配慮)

2013年5月に設立された日本海洋散骨協会は、以下の目的達成に向けて活動をしています。
1.海洋散骨を実施する消費者の保護 → 航行上の安全確保
2.施工場所付近でのトラブル防止と環境保全 → 周辺および自然環境への配慮
上記2点を実現するために協会独自のガイドラインを定め、守っていくことで多くの方に散骨・海洋葬の素晴らしさを知ってもらうこと。

現在、散骨・海洋葬について法律で定められたルールはありません。ただ葬送の目的外で遺骨を海に遺棄するという行為は刑法190条の対象になります。(詳しくは散骨と法律をご覧ください。)それだけではなく海を利用する周りのすべての方々に迷惑がかかる行為は、損害賠償請求などの民事提訴される可能性があるのも事実です。

日本海洋散骨協会はご遺族が安心して安全に散骨できること、周辺へ配慮すべきことを自主的なガイドラインにまとめ、散骨のルールとマナーについて常に真剣に考え、取り組んでいる事業者団体でした。

セレモニーの内容や価格については各施行会社が決めるべきこと

サミットではおもに散骨ポイント(海域)について討議がおこなわれました。先ほどお話しした通り、散骨に明確なルールがないという現状において下記のようなことが起こっています。
1.漁場や人目につく場所に散骨をしてしまう。(周辺への配慮欠如)
2.ビニールなど自然に還らない副葬品を海にまいてしまう(周辺への配慮欠如)
3.旅客船の登録をしていない(安全の確保欠如)
日本海洋散骨協会では散骨を実施するお客様を守るうえで上記に対するルール作りをおこなっており、船上でのセレモニーの内容や施行費用(料金)については各施行会社で決めるべきという判断をしています。

守るべき最低限のルールを守ってお客様へサービスをするということはとても大切だと思いました。最低限のルールを守っていなければ、利用者は施行料金に対する価値判断ができなくなります。もし仮に「危険で周りに迷惑をかけますが、代わりに低価格です。」とメニューに書いてあったら、利用者はその商品を選ぶでしょうか?全国の施行会社には一定のルールに立ったうえの営業努力で切磋琢磨してほしいと実感しました。

海洋散骨のガイドラインはつねに利用者の目線に立って見直す必要がある

現在日本海洋散骨協会では、「散骨ルールBOOK」を作成して配布しています。散骨ポイントやルール・マナーについて分かりやすくまとめてあります。ただ協会で定めたルールは一度作ってしまえばそれで終わりということではないようです。

今回のサミットでは東京出航エリアを例に「散骨禁止海域」を定めることについて検討していました。ルールが細かくなっていくと利用者にとっても自由度がなくなってしまうという印象がありますが、協会は施行会社側の都合ではなく、つねに利用者の目線に立ってガイドラインを見直す必要があると明言していました。「お客様(ご遺族)の安全と思いを守る。」という姿勢は素晴らしいことです。散骨・海洋葬ネットもお客様から頂いたご意見を常に発信していく使命があると感じました。

遺族の思いを国や行政の代わりに実現してほしい

サミットではたびたび国の法律や地方自治体の条例で散骨のルールを定めることは難しいという意見がでていました。確かに国や行政は宗教観や思想に係る散骨・海洋葬に対して法律で明確に規制することは難しいと思います。だからこそ協会の活動に意義があり、国や行政に訴えかける必要があるはずです。

日本海洋散骨教会には新規参入業者の排除や市場の寡占化など利用者にとってマイナスの方向に向かうことなく、現在の取り組みをより多くの方に告知して市場の拡大(=散骨の素晴らしさを知ってもらうこと)に努めてもらいたいと思います。

「お客様(ご遺族)の安全と思いを守る。」ことが業界の発展と活性化につながるということを学ばせていただいた海洋葬サミットでした。

一般社団法人日本海洋散骨協会ホームページ

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