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クローズアップ 「ブルーオーシャンセレモニー」合同・委託散骨乗船レポート

以前「お坊さんのための海洋散骨体験」の取材をさせていただいたブルーオーシャンセレモニーの合同散骨、代行委託散骨に同乗しました。細やかな心遣いと「セレモニー」という名前の通り、お別れの時を大切にする合同散骨は、きっと参加したご遺族の心に残る清々しいセレモニーであったはずです。

ご遺族一組ごとにテーブルをセット

乗船するご遺族の集合を待つ船内は、清掃が行き届き、参加するご遺族の人数に合わせてテーブルがセットされています。この日は合同散骨に5組16名の方が参加しました。テーブルの上には花かごとお菓子が置かれています。そして後部デッキには代行委託散骨4柱とそれぞれに花かごが用意されています。木箱に納められたご遺骨は、男性の故人には水色の風呂敷、女性の故人には臙脂(えんじ)色の風呂敷でていねいに包まれています。ご遺族が乗船したあとの各テーブルにも、同じように風呂敷に包まれたご遺骨が置かれ、最後のお別れをします。

スーツにネクタイ、スカーフ姿のスタッフが出迎える

「お足もとにご注意ください。」「お荷物をお持ちします。」まるで飛行機の搭乗口でキャビンアテンダントに声をかけられているようです。朝潮小型船乗場にやってきたご遺族を船内に誘導する姿はとても自然で、いつも同じ対応をしていることが分かります。スタッフは全部で5名。自社船を操船する村田船長もご遺族をもてなすスタッフの一人です。船長含め男性スタッフはネクタイ姿、女性スタッフ(村田社長)は首にスカーフを巻いています。ブルーを使ったオリジナルデザインで爽やかな印象があります。スタッフのうち2名がバックヤードを担当。大切な裏方担当です。

船長が散骨ポイントの波や風の様子、到着予定時刻を説明

全員が揃った段階でまず船長が挨拶をします。乗船の御礼から始まり、散骨ポイントの緯度・経度、出港から帰港までの波や風の様子、散骨ポイント到着から帰港予定時刻について、ていねいに説明しています。また飛行機と比べてしまうのですが、機長挨拶のアナウンスを聞いている感覚です。その後村田社長から船内の説明、航行時の注意点などの説明がありました。いよいよ出発です。船は徐々にスピードを上げていきますが、船が大きいからでしょうか。大きな揺れを感じません。乗船場所の「朝潮小型船乗場」は晴海運河内にある桟橋で、波もなく穏やかな場所にあります。銀座からタクシーで10分、都営大江戸線「勝どき」駅からは徒歩5分の好立地です。また散骨ポイントの羽田空港沖も滑走路が波を止めてくれるので比較的揺れの少ない状態で散骨をおこなうことができるようです。

ご遺族への連絡と、船内の行き届いたプロのサービス

出発後、後方デッキで待機していた私の目に飛び込んできたのは、各スタッフが無駄なく各自の役割をおこなう姿です。まず男性スタッフが代行委託散骨をおこなうご遺族に無事出発したことを連絡します。その間バックヤードの男女スタッフがドリンクサービスの準備を行ないます。ブルーオーシャンセレモニーのドリンクサービスは数種類のソフトドリンクが選べて、おかわりも自由です。アルコールも別途有料で提供しています。ブルーオーシャンセレモニーを運営する株式会社ハウスボートクラブは、パーティークルーズなど飲食を提供するクルージングをおこなっていて、そこでの接客ノウハウが行き届いたサービスにつながっているのだと感じました。また、このようにグラスでドリンクを提供するスタイルは私にとっては初めてで、ほとんどの散骨会社がペットボトルで飲物を提供しています。キッチン付きの自社船を持つメリットを感じます。

航行中もご遺族とのコミュニケーションを欠かさない

「〇〇様が上(スカイデッキ)に移動されたので見に行って。」とスタッフに指示を出す村田社長。船室内では男性スタッフがテーブルのご遺族と会話を欠かしません。といっても無理にコミュニケーションをとるのではなく、ご遺族の様子を見て必要な時に声をかけています。ご遺族全員に目配りを欠かさないフタッフの体制に感心しました。また今回の合同散骨、代行散骨は、この男性スタッフが遺骨の引取りなどですべてのご遺族と事前に会って話をしているので自然に会話ができています。基本的にご遺族が乗船されるときにスタッフ全員と初対面にならぬよう、受付から散骨終了まで1担当制を取っているブルーオーシャンセレモニーの心遣いは素晴らしいと思いました。

散骨ポイントは1組ずつ測位する

船が散骨ポイントに到着しました。静かな場所です。東京湾での散骨は数回取材をさせていただていますが、場所によってその表情はさまざまです。岸も大型船の姿もかなり遠く、海を見渡すことができます。後方デッキで1組ずつ散骨、献花、献酒を行ない、終了したご遺族を2階のスカイデッキに誘導します。スカイデッキでは村田船長が散骨の様子を注意深く見守っています。1組ごとに散骨がおこなわれたのを確認すると急いで緯度・経度を確認してメモを取っていきます。初めて見る光景です。「船が止まっていても風や波で微妙に緯度・経度が変わるので1組ごと測位している。」と話す村田船長。ご遺族には伝わりにくいであろう細やかな仕事を当たり前のようにおこなう船長の姿に意識の高さを感じます。スカイデッキでは、散骨を終えたご遺族が清々しい表情で青い空と海を見つめています。

スカイデッキで黙祷、十点鍾、そして代行委託散骨実施

船のエンジンが止まり、静寂が訪れます。スカイデッキでは黙祷とともに10回号鍾を鳴らす「十点鍾」がおこなわれます。どこまでも響く鐘の音が印象的です。その頃、後方デッキでは村田社長とスタッフ2名が代行委託散骨をおこないます。風呂敷をほどいて木箱を開けて写真撮影、散骨の様子もたくさんの写真を撮影します。決して端折ることなくていねいに1柱ずつ3名で行なう代行委託散骨は、きっと乗船できなかったご遺族にも「お願いして良かった。」と思われることでしょう。

「イメージ通りの散骨でした。」

十点鍾が終了すると、船はゆっくりと動き出し、散骨ポイントを旋回します。船は旋回して汽笛を鳴らします。この最後の汽笛は何度聞いても薄れることなく心に響きます。その後船はお台場、晴海を経由して朝潮小型船乗場に帰港します。同じルートでは帰らずに、東京湾内をクルージングすることで、散骨を終えた遺族に故人を想う時を提供します。羽田空港に着陸する飛行機を真下から見るスポットで写真撮影をしたり、カモメがいる季節は餌やりをおこなったりするそうです。

今回も1組のご遺族にお話しを伺うことができました。
亡くなられたお母様の散骨にご主人と乗船したSさん(女性)に、いくつかインタビューをさせていただきました。

散骨・海洋葬を選ばれた理由をお聞かせください。
「病床で母が海への散骨を強く希望していました。お墓に来てもらうよりも、海に遊びに来る感覚で会いに来て欲しいというのが母の願いでした。」

複数ある業者の中からブルーオーシャンセレモニーを選ばれた理由についてお聞かせください。
「インターネットで調べて比較した際に、一番感じの良いホームページだったのがブルーオーシャンセレモニーでした。実際今日イメージ通りの散骨をしていただき、とても良かったと思います。はじめは全骨散骨に迷いがあり、手元供養も考えましたが、結局全骨散骨を選びました。メモリアルクルーズにもぜひ参加したいです。」と今日の散骨について振り返っていました。

最後に散骨を検討されている方へのアドバイスをお願します。
「周りに一人でも散骨に反対する人がいるのであれば、取り返しのつかない散骨を選ぶべきではない。そのかわり全員が納得して行うのであれば、散骨はひとつの供養の方法と考えてよいと思います。」

Sさんご自身は、散骨は選ばずにお墓に入ることを考えているとおっしゃっていました。私はこうやって本人の意志で供養の方法について選べることが最も大切であり、Sさんのようにご自身の考えをしっかり持っていらっしゃる方は素晴らしいと思いました。

最後までご遺族を見送る

すべての予定が終了して船は朝潮小型船乗場にゆっくりと戻ってきました。船室内で村田社長から最後の挨拶があり、ご遺族が下船して桟橋をあとにします。桟橋でご遺族の姿をずっと見送る2名のスタッフと船長の姿。船会社の船をチャーターする場合は、時間で料金が決まっているため、時間に余裕がない時はどうしても慌ただしくなりがちです。チャーター船の船長がご遺族を最後まで見送ることもありません。自社船を所有するということは当然費用面での負担も大きいと思いますが、それに代えがたいメリットも多くあることを今回学ばせていただきました。


今回、一般社団法人日本海洋散骨協会への加盟会社でもあるブルーオーシャンセレモニーの散骨を初めて見せていただきました。驚いたこと、感心したことや勉強になったことがたくさんあったので、今回のレポートはだいぶ長くなってしまいました。まるで飛行機やホテルの接客を見ているようだった今回の合同散骨と代行委託散骨。飲食を提供するパーティークルーズの接客ノウハウが活かされた独自のサービスがブルーオーシャンセレモニーの魅力であり、スタッフ全員が同じ方向でさらに高い質を求める姿が、多くのご遺族に支持される理由なのだと実感しました。

ご協力いただいた散骨施行業者

ブルーオーシャンセレモニー
経験豊富な船長とスタッフが24名まで乗船できる自社クルーザーで散骨をおこないます。故人を想う気持ちを大切に、ご遺族のさまざまなご要望にもお応えしています。
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